日本では携帯事業者に割り当てられた2GHz帯の帯域の一部を使って、通常の地上の電波が届かないエリアでも、見晴らしの良い屋外であれば通信が可能になるStarlink Directサービスが展開されている。総務省において「衛星コンステレーションによる携帯電話向け2GHz帯非静止衛星通信システムの技術的条件」として技術的な詳細が公表されているが、実際のサービスとしてどのように運用されているのかを詳細にまとめた。
周波数割り当て
2GHz帯の割り当てと、そのうちStarlink Directとして衛星通信に用いられている周波数帯を図にした。各キャリア割り当てられている帯域のうち上下5MHz幅をStarlink Direct用に割り当てている。
このうちKDDIとSoftBankはほぼ全国20MHz幅でサービスを行っているが、docomoは屋内など一部を除いて15MHz幅でサービスを行っており、地上の基地局が使用する周波数がStarlink Directと一切かぶらないように運用されている。
地上基地局のRB制限
KDDIとSoftBankについては地上基地局とStarlink Directで使用する帯域がかぶっている。衛星通信においては送信電力の制限から、端末から衛星への上り通信が鬼門となる。そのため上り通信については制限をかけることで、地上基地局との通信が衛星通信で用いられる帯域を汚さないように緻密に制御されている。
具体的にはSIB2のnRB-CQIおよびRRCConnectionSetupのcqi-PUCCH-ResourceIndexに記述がある。nRB-CQIは端末が電波の品質(CQI)を基地局に報告するためのRB(リソースブロック)数を決めるパラメーターである。つまり制御用の帯域であるためユーザーのデータ通信(PUSCH)としては一切使用が不可能となる。そのうえでcqi-PUCCH-ResourceIndexを用いてCQIを報告するリソースインデックスをかぶらないようにすることでStarlink Directで使用する帯域では一切のデータ送信を許可しないことになる。これがいわゆる「RB制限」の手法である。
視覚的にわかりやすいようRBの配置を図で示す。
なおStarlink Directは地上基地局の電波が届かない圏外状態で使用されることから、下り帯域に対しては特段制限がかかっているように見られなかった。
PLMN / Cell ID
Starlink Directで用いられるPLMNは地上の基地局で使用しているものとは異なる。
| PLMN | 事業者 | EARFCN |
|---|---|---|
| 440-25 | SoftBank | 575 |
| 440-26 | docomo | 225 |
| 440-55 | KDDI | 25 |
Cell IDやTACにも法則性があると考えられるが調査中である。

衛星通信に対応した端末
衛星通信に対応しているAndroid端末ではSatellite Config Viewerを開くことができる。ActivityLauncher等でPhoneInfoを開くと当該項目がある。衛星通信を提供している事業者のPLMN一覧を確認することができる。(画像はSC-51E/OneUI8.5)
また2026年10月現在では衛星通信を使用するにはアプリ側の対応も必要となっており、どのアプリでも衛星通信下で使用可能なわけではない。

D2C衛星
Starlink Directで通信可能な衛星はStarlink衛星のうちD2C(Direct to Cell)機能を搭載した第2世代(Starlink V2 Mini)である。具体的な衛星の一覧はCelesTrakを参照。
Starlink 地上ゲートウェイ局
Starlink Direct含めたStarlinkの通信は地上ゲートウェイ局を通じてインターネットと接続されている。日本には4か所設置されており、いずれもKDDIの施設に併設されている。
1.KDDI 石狩海底線中継所(北海道小樽市銭函5丁目)
2.KDDI 秋田海底線中継所(秋田県秋田市下浜桂根浜田)
3.KDDI 茨城海底線中継所(茨城県ひたちなか市阿字ケ浦町)
4.KDDI 山口衛星通信所(山口県山口市仁保中郷)


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