先日観光でタイに行ってきました。タイの電波状況や周波数割り当て、基地局の様子などを紹介したいと思います。
周波数割り当て
タイの通信事業者は2025年現在大きく分けて「AIS」「True」「NT」の3つである。NT(Nation Telecom)はシェアが低いため実質2強といってもよい1。2025年11月現在で実際に運用を確認できた帯域は以下の通り。
FDD帯域
| 周波数帯 | キャリア | 上り [MHz] | 下り [MHz] | 帯域幅 [MHz] | 運用 |
|---|---|---|---|---|---|
| 700MHz | True | 703-723 | 758-778 | 20 | B28 or n28 |
| AIS | 723-743 | 778-798 | 20 | B28 or n28 | |
| NT | 743-748 | 798-803 | 5 | B28 | |
| 900MHz | True | 890-895 | 935-940 | 5 | GSM EDGE UMTS VIII |
| AIS | 895-905 | 940-950 | 10 | LTE B8 | |
| True | 905-915 | 950-960 | 10 | LTE B8 | |
| 1.7GHz | True | 1710-1725 | 1805-1820 | 15 | LTE B3 |
| AIS | 1745-1765 | 1820-1840 | 20 | LTE B3 | |
| 2.1GHz | True | 1920-1925 | 2110-2115 | 5 | UMTS I |
| 1925-1940 | 2115-2130 | 15 | LTE B1 | ||
| 1940-1950 | 2130-2140 | 10 | LTE B1 | ||
| AIS | 1950-1955 | 2140-2145 | 5 | UMTS I | |
| 1950-1970 | 2140-2160 | 20 | LTE B1 |
注目すべきはGSMである。900MHz帯UMTSのガードバンド領域でGSM(EDGE)を運用していることを確認できた。非常に狭帯域のためパケット通信が満足にできないが、日本では見られない通信規格のため非常に興奮した。

TDD帯域
| 周波数帯 | キャリア | 周波数 [MHz] | 帯域幅 [MHz] | 運用 |
|---|---|---|---|---|
| 2.3GHz | True | 2310-2370 | 20×3 | LTE B40×3 |
| 2.5GHz | AIS | 2500-2600 | 100 | NR n41 |
| True | 2600-2690 | 90 | NR n41 |
2.5GHz帯は5Gのメインバンドであり、都市部に限らず郊外でもNSAでn41をつかむことが多く、非常に通信が快適だった。都心部ではすべてNR化されていることが多かったが、郊外では一部がB41として運用されている場所も多かった。

ネットワーク詳細
2.3GHz帯および2.5GHz帯のLTE TDD configはsa2/ssp7で日本のAXGPと同じである。またLTE 4波CAすることまで確認できた。Band28は4Txになっているが生かせるUEはどれだけいるのだろうか。。。



基地局
タイの基地局は日本のように離隔を取らないので、1つのタワーに密集して大量のアンテナがつけられることが多い。海外に来たな~と感じる瞬間の一つである。


タイは衛星放送が盛んで、大きなパラボラアンテナを各所で見ることができる。日本のBS/CS放送はKuバンド(約12GHz)だが、タイの衛星放送ではCバンド(約4GHz)も多く使用されている。日本の5Gメイン周波数である3.4~4.2GHzは丸被りなためタイでは運用されない。


街中の電柱には無造作に基地局が設置されていることがある。写真はバンコクの寺院(ワットパクナム)内に設置された基地局であり、手の届く位置にHUAWEI製RRU3953とアンテナが設置されている。さすがに防護指針が心配で頭が沸騰しそうだった。

商業施設の地下等には屋内アンテナが設置されており、通信圏外になることはなかった。丁寧にラベルも貼っているため事業者を見分けることが容易である。

ローミング事情
旅行といえば現地でのSIMが必須である。日本のキャリアと契約しているのであれば海外ローミングを使用するのも1つの手である。自分はahamoと楽天モバイルの海外ローミングを使用した。いずれも空港到着後すぐ使用できるため、こだわりがなくデータを垂れ流さないのであればこれで問題ない。
なおクレジットカード決済等でSMS認証が必要になる場面が旅行中多いため、メイン番号は海外ローミング対応回線にしておくことを強くお勧めする。また国際電話をかける際に楽天Linkは通話料無料のため非常に助かった。
ahamoと楽天モバイルいずれもAIS・Trueでローミング可能なことを確認した。日本の設備を経由するためpingはやや遅いものの体感で不満に思うほど遅くもなく快適であった。
特にahamoは国内で使うより海外のほうが快適
SIMカード
タイ国内での通信はAISの旅行者向け無制限SIMカードをメインで使用した。購入時8日間で499THB(日本円で2,476円)となっている。パスポートでアクティベーションが必要になるためあらかじめ済ませておくのが吉である。購入は以下のURLから。
SIM & Plans for Tourist : https://www.ais.th/en/consumers/package/international/tourist-plan/japan
またTrueの回線はTrip.comのeSIMパッケージを購入した。7日間有効の35GBパッケージで744円とかなりお得になっている。dtac名義になっているが、Trueとdtacは合併したためどちらのブランドで購入しても問題ない。
タイ Dtac Truemove正規 5G eSIM : https://jp.trip.com/things-to-do/detail/48207482
いずれもタイ国内到着後eSIMを有効化することですぐ使用することが可能になる。電測のためにeSIMをEIOTCLUB eSIM Kitで物理SIMカード化した。詳しくは記事を参照。
通信事情
今回の旅行ではバンコク・アユタヤ・チェンマイを巡った。AIS・Trueいずれも歴史ある大手キャリアのため観光地や都市部で通信に不満があることは一切なかった。
イーペン(コムローイ)で訪れたロイヤルチェンマイ ゴルフリゾートとガッサンレガシーゴルフクラブは、圏外にならないものの電波状況がやや悪めだったため訪れる人は注意されたし。

Galaxy AI Station
バンコクのBTS Siam駅がGalaxy AI Stationとして一面ラッピングされていた。2024年に引き続いてコラボしているようなのでぜひ訪れてほしい。


- Announcement of the Office of The National Broadcasting and Telecommunications Commission Re: Invitation to Apply for 850 MHz, 1500 MHz, 2100 MHz and 2300 MHz Spectrum License https://nbtc.go.th/News/Information/70512.aspx?lang=en-us ↩︎


















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