KDDIの決算資料から読み取る楽天モバイルのローミング費用

 楽天モバイルは2019年10月に移動体通信事業者としてサービス開始しましたが、サービス開始当初から自社回線の1.7GHz/3.7GHz/28GHz帯に加えてKDDIの800MHz帯をローミングで利用しています。

 楽天モバイルの黒字化に向けては契約者数を増やし、ARPUを増やし、ローミング費用を減らす必要があります。そこで負担になっているローミング費用は一体いくらなのかをKDDIの決算資料から読み取りたいと思います。

決算資料についてはKDDI IRライブラリから引用しています。
https://www.kddi.com/corporate/ir/ir-library/

 決算詳細資料を確認するとグループMVNOによる収入は(モバイル通信料収入)ー(マルチブランド通信ARPU収入)で求められます。当然IIJやmineoのようなMVNOも含まれていますが、大まかな傾向をつかむためグループMVNOによる収入を楽天モバイルへのローミング費用と考えます。四半期ごとの推定ローミング費用は以下です。

四半期モバイルマルチブランド推定ローミング
Q1/21422,420411,54710,873
Q2/21431,693416,07215,621
Q3/21436,366417,52318,843
Q4/21431,555409,65421,901
Q1/22432,918399,89033,028
Q2/22432,922397,28535,637
Q3/22431,656391,57040,086
Q4/22412,970378,81134,159
Q1/23402,278370,66531,613
Q2/23396,727366,65630,071
Q3/23401,476374,54026,936
Q4/23390,931364,51126,420
Q1/24388,934367,79121,143
Q2/24390,556370,32520,231
Q3/24389,941373,67916,262
Q4/24385,881369,55616,325
Q1/25385,624370,67514,949
楽天モバイルの推定ローミング費用。金額の単位はいずれも百万円

推定ローミング費用と契約者数のグラフを出してみました。
契約者数は右肩上がりですが、ローミング費用は順調に減少しています。
自社回線の整備が進んでいることとローミングエリアの縮小が主な要因と考えられます。

 2024年6月27日に楽天モバイルは700MHz帯(いわゆるプラチナバンド)の商用サービスを開始しました。しかし2024年8月20日時点では基地局の免許は1局しかありません。代わりにKDDIのローミングエリアは8月16日付でマップが更新されており大幅に増加しました。ローミング費用の増加は免れない状況です。

 当初の契約ではローミング提供期間は2019年10月1日から2026年9月30日までとなっていましたが「ローミング提供期間のさらなる延長については両社協議の上決定」との文言が追加されるなど、当分KDDIとおんぶにだっこ状態が続くと思われます。

ちなみに楽天モバイル向けのローミング契約約款は一般に公開されていますhttps://www.kddi.com/extlib/files/corporate/kddi/kokai/keiyaku_yakkan/pdf/rakuten_roaming.pdf
料金はデータ1パケット(128B)あたり0.00006556円で、1GBあたり550円になります。(2023年9月19日改正時点)
家の周りに基地局が欲しい方はローミング状態で大量にデータを流すといいかもしれません。

(2024年8月25日追記)
データ流しまくっても基地局建つわけがないのでジョークは真に受けないこと。素直に設置要望を出しましょう。

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